栄養士としての職場というと、まず思い浮かぶのは社員食堂や病院だと思うのですが、私は子どもが好きで、子どもと接する仕事に就きたくて食品メーカーから保育園に転職しました。といっても、栄養士は保育士さんとは違ってクラスを持つわけではないですし、直接子どもたちと触れ合う機会は少ないですが、でも、そこはあえて自分からできるだけ調理室を出て、積極的に子どもたちに話しかけるようにしています。食べ物に興味を持ってもらうために、教室内でホットプレートを使って調理のデモンストレーションをして見せるという取り組みも行っているのですが、普段声をかけてくれる先生がやっていると、子どもたちの関心度が違いますよね。また、ベランダのプランターで育てた野菜を食材に使うということも行っていますが、そうすることで野菜に興味を持って、苦手なものも食べてみようかなという気持ちになるんです。自分たちで水をやって世話をした野菜には、子どもでも愛着を感じるものです。ただ食事やおやつを作るだけでなく、子どもたちの五感すべてを刺激することで、食べる意欲を育てるのも栄養士の役割りだと考えています。
京王キッズプラッツは、すべての園で、昼食の献立は和食を中心にしています。旬の食材を取り入れやすく、だしを生かして塩分をおさえた味付けにできることなどが和食の良さです。食事はお腹を満たすものであり、同時に文化でもあります。そのため、食事の前に季節の食材についての話をすることもあります。また、家庭でも食育という意識を持っていただけるように、親御さんに園で出した料理のレシピをプリントしてお渡しするという取り組みも行っています。いろいろな素材を使った料理をご家庭でも作っていただくことによって、子どもたちの好き嫌いを少なくできると考えています。
保育園では0歳児から5歳児までのお子さんをお預かりしていますが、0歳と6歳では食事で大切にすべき点がまったく異なります。噛む力や手の発達などに合わせて作り分ける必要があり、食材の切り方を変えたり、味付けを変えたりします。さらに、食物アレルギーのある子どももいるなど、人数分の料理を同じように作るというわけではないので、大変ではあります。けれど、ごはんを食べた子どもたちが「美味しかった」と言ってくれるとうれしいですね。好き嫌いのある子が苦手な野菜が食べられるようになったりする姿を見ると、この仕事をしてよかったと思います。大変だけど、その分やりがいもある。それが保育園の仕事です。